開演時間が近づくにつれ、カラカラと下駄の音……
ならぬ靴音を響かせながらお客様も集まってきて、会場は俄然期待と興奮が高まってゆきます。
この日会場に来てくださったお客様は、約90人。舞台の設えられたお堂は開演時刻にはもう一杯の満員御礼、皆様のご来場本当にありがとうございました。

そうこうしているうちに、真夏の長い日もだんだん西の空に沈み……周囲に薄闇が漂い始める頃、知恩寺は修道院にガムランの楽の音がゆるゆると響き出しました。
時に低く、時に高く、リズミカルに鳴り響くガムランの音にあわせて、二人の踊り手が軽快に舞台に登場。今回の「怪談牡丹灯篭」では、ユリアティさんが武家の娘お露を、ポタラカメンバーの小谷野さんが浪人新三郎・お付きの伴蔵・良石和尚の三役を演じました。

この「怪談牡丹灯篭」は『身分違いの恋をしたお露と新三郎が周囲の反対で引き裂かれ、恋煩いの果てに亡くなり幽霊となったお露がついには新三郎をとり殺してしまう……』というストーリーで、舞台は日本の江戸時代という設定なのですが、演じる二人が身に纏っているのは、写真にもあるとおり、伝統的なインドネシアの舞踊衣装。
それがなんともミステリアスなムードを作り出し、艶やかなガムラン音楽とあいまって、いやが上にも幽玄な雰囲気を盛り上げてくれます。

特に最初、まだ生きたお露と新三郎がはじめて出会い、恋の舞踊を踊るくだりはいかにも華やかで、くるくると嬉しげに舞い踊るお露が可愛らしくて、個人的にとてもお気に入りのシーンでした。この後お露は儚くなってしまい、幽霊と化してからは常にあやしげなムードを身に纏っていたので……その落差もあって、特に印象深く感じたように思います。

なんといっても怪談ですので、全体的にしっとりと、あやしげなムードの漂った舞台であったのですが、そうは言ってもシリアス一辺倒ではないのが、この舞台の楽しいところ。
もともと「ポタラカ」は喜劇を得意とするグループと聞いていたのですが、本公演でもその特色はあますところなく発揮され、ところどころに挿入されたアドリブやコントのたびに、客席から笑い声がわき起こっていました。
三つの仮面を変幻自在に使い分け、三つの顔を演じ切った小谷野さん、踊りに演技に、楽しい舞台を本当にありがとうございました。

こうして盛況のうちに幕を閉じた今回の舞台。私自身、バリの仮面舞踊劇というのを見るのは初めてだったのですが、とても美しく幽玄、かつ明るく分かりやすい舞台で、非常に楽しく鑑賞することができました。

今回のツアー公演は、8月30日の京都に続く31日の神戸公演で終了してしまいましたが、ガムラングループ「ポタラカ」の皆さんは、次回は「源氏物語」の公演を考えておられるとか。
詳しい情報はまだ未定ですが、興味をもたれた方は次の機会も是非、ガムランの音色に耳を傾けに足を運んでいただけたらと思います。
文・宮 伸子


スタンバイ中のユリアティーさん(左)と小谷野さん(右)。本番前の真剣な表情です。
どんなお気持ちなのでしょうか〜?
ユウ★キママでおなじみの「ユウキ」が司
会をつとめました。
役者を目指してるだけあってか、90人を
目の前にしても堂々とした司会でした。
さ、さすが…。
丸太町にある「吉田屋料理店」から特別にオリジナルフード「サテロール」をご用意して頂きました。
会場に来た人だけが味わえた当日限りの吉田屋限定フード!!